個人として直近で何かの支払いをした場面を思い浮かべてみてください。レジでスマートフォンをかざしたり、特に意識することなく友人へ送金したりしたかもしれません。こうした“手軽さ”は、いまや決済に対する一般的な期待値となっています。
しかし、多くの企業の内部では、買掛金(AP)プロセスはいまだに複雑で煩雑なままです。紙の請求書、長い承認プロセス、遅い支払い——こうした状況は依然として一般的です。期待値が高まる中、財務部門のリーダーには、より迅速で安全かつ柔軟な決済体験の提供が求められています。
2026年に向け、企業の支払い・入金のあり方を形作る5つのトレンドが浮上しています。これらのトレンドは市場の方向性を示すものであり、当社の「2026 Business Payments Trends」eBookでは、貴社への示唆をさらに詳しく解説しています。以下はその概要です。
不正の試みは減速していません。2025年AFP Payments Fraud and Control Surveyによると、79%の企業が決済不正の試行または被害を経験しており、特に小切手が最も脆弱な手段とされています。攻撃者は、AI生成のフィッシングメッセージやベンダーなりすましなど、より高度な手口を用いるようになってきており、消費者側の不正リスクに対する意識向上と、企業側のリスク露出との間のギャップは、ますます拡大しています。
財務部門では、不正対策として、厳格な統制が可能なバーチャルカードの活用、多要素認証の導入、取引のリアルタイム監視、さらには本人確認の強化などを組み合わせた多層的なアプローチを採用する動きが広がっています。
配車アプリの予約、フードデリバリーの注文、サブスクリプション決済など、私たちは日常生活の中で組み込み型決済(Embedded Payments)を既に体験しています。同様の期待が、B2B領域にも広がっています。
決済機能をプラットフォームに組み込むことで、ユーザーを外部ポータルへ遷移させることなく、エコシステム内に留めることが可能になります。これにより、ユーザー体験の向上と収益機会の拡大が実現します。Bain & Companyによれば、米国における組み込み型金融サービス取引額は、2021年の2.6兆ドルから2026年には7兆ドル超へ拡大する見込みです。
しかし、実際の大きな変化はむしろ舞台裏で起きているのです。多くのソフトウェア企業が自社開発ではなく、コンプライアンス、統合、運用保守を担うパートナーを活用して、決済機能を組み込む方向へシフトしています。
AFPの最新調査によると、小切手関連の不正が増加しているにもかかわらず、75%の組織が小切手利用削減の計画を持っていません。とはいえ多くの場合、課題は近代化への関心の欠如ではなく、レガシーシステムの制約、取引先の慣行、そして社内プロセスの重さにあります。
デジタルファーストのワークフローへ移行した企業では、取引の双方にメリットが生まれており、サプライヤーに対する支払いの迅速化、財務チームにおけるリアルタイムでの可視化、そしてエラーの削減といった効果が確認されています。
WEXのコーポレートペイメント部門プレジデント、Eric Frankovicは次のように述べています。「もはや買い手中心の世界ではありません。取引の双方に価値がもたらされることを確実にする必要があります。」
AIはすでに財務部門の業務を変革していますが、次の飛躍は「エージェント型AI(Agentic AI)」です。これは、より少ない人手の指示で推論・学習・実行が可能な技術を指します。
WEXのチーフプロダクトオフィサー、Karen Stroupは次のように説明しています。「従来のAIは洞察を提供します。エージェント型AIは、それに基づいて行動できます。この転換はゲームチェンジャーです。」
たとえば異常検知 → ワークフロー自動開始、あるいは最適な決済レールの提案 → 自動ルーティング。これは、人間の監督を不要にするのではなく、チームの生産性を阻害する反復作業を削減する点が特徴です。
米国労働省によると、ミレニアル世代とZ世代は、米国労働力の過半数を占めるまでになっています。彼らは、タップ決済を日常的に利用し、スマートフォンで資金管理を行い、あらゆる情報が即時に可視化されることを当然の前提として育ってきた意思決定層です。
彼らの志向はすでに企業の決済戦略に影響を及ぼしており、モバイル対応で自動化され、かつ直感的に利用できるツールを求めるとともに、柔軟性や容易なシステム連携を重視しており、さらに、自社チームの実際の業務運用に迅速に適応できるベンダーを選好する傾向があります。
この世代交代は、旧来型ワークフローの寿命が長くないことを示す強力なシグナルといえます。
ここで挙げた5つのトレンドは、全体像の一部に過ぎません。決済領域の変化のスピードは加速しており、2026年は、受動的なオペレーションから先回り型(プロアクティブ)で将来志向の財務運営へ移行できるかどうかの分岐点となるでしょう。
以下の検討を進めている企業にとって:
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